心電図は、心臓病が疑われる際、最も頻繁に使われている検査方法です。安価であることと身体に負担が全く無いことから、古くから心臓病の検査として広く行われています。具体的には、心臓の電気的な活動の様子をグラフの形にして記録し、心疾患の診断と治療に役立てるものです。様々な心疾患で、かすかな電気の変化が心臓の中で起こります。その電気的な変化を、症状が出現する前に捉えることが可能です(図4)。
 

図4.心電図波形の原理

図4.心電図波形の原理


 

一般的な心電図は、四肢に肢誘導4本と、胸部につける胸部誘導6本の電極をつけて、12誘導心電図を記録します。心電図検査には大きく分けて、1)安静時心電図、、2)24時間ホルター心電図、3)運動負荷心電図があります。CVIC大井町及びCVIC飯田橋で実施可能なのは、1)安静時心電図、2)24時間ホルター心電図になります。
 

1.安静時心電図(図5)

図5.安静時心電図検査

図5.安静時心電図検査


 

健康診断など一般的な検査に用います。不整脈や心筋梗塞などの病気を検出する事が可能です。非常に重要な検査ですが、安静時心電図で検出できる病気には限界があるので注意が必要です。例えば、不整脈はそれが出ている時にしか検出できません。安静時心電図は、通常は数秒しか記録しませんので、その短い時間の中で不整脈が出ていなければ検出することが出来ません。狭心症も同様で、症状のある時に検査しなければ、検出する事は不可能です。心筋梗塞は、狭心症よりも一歩進行した病気で、安静時心電図でも可能な場合が多いです。突然発症する急性心筋梗塞や心筋梗塞に移行する可能性のある重症な狭心症である不安定狭心症などは安静時心電図でも診断可能な場合が多いです。また、心臓肥大、特に左室肥大も心電図で診断可能です。つまり、安静時心電図で異常があれば更なる検査が必要ですが、異常が無いからといって病気が無いということにはなりません。

 

2.ホルター心電図(24時間心電図)

不整脈や胸痛などをくわしく調べるため、ホルター心電図という小型心電計を24時間携帯して心電図を記録するために使います。機器の進歩とともに、現在ではクレジットカードほどの大きさまで小さくなっています(図7)。

 

図7.ホルター心電図

図7.ホルター心電図


 

心臓の拍動の数(心拍)は、平均的な成人で1日に約10万回の心拍といわれています。ホルター心電図は、10万回の心拍を全て記録して、以下の内容を検討するのに用います。

 

1.不整脈の数 全体の何%なのかを知ることが出来ます。後述する不整脈の種類や症状との一致によりますが、一般的に10%以下であれば許容範囲と考えられています。
2.不整脈の種類 心臓の上の部屋である心房から出ている上室性不整脈、下の部屋である心室から出ている心室性不整脈を鑑別することが可能です。また、脈が速くなる頻脈性不整脈であるのか、逆に遅くなる徐脈性不整脈なのかを鑑別することが可能です。不整脈の種類により治療方針が違ってきますので、どのような不整脈であるのかを検査する事は重要です。
3.不整脈の危険度 不整脈が生命に危険な重症不整脈であるのかを推測することが可能です。危険な不整脈は心臓突然死に繋がりますので、迅速な治療が必要になります。
4.不整脈と症状の一致 ホルター心電図検査には、症状が出た時にボタンを押す設定になっている場合が多いです。ボタンの押されている(症状の出ている)付近の心電図を詳細に検討することで、症状に実際に関連しているのはどのような不整脈なのかを検討することが可能です。
5.心筋虚血の有無 ホルター心電図検査中に心筋虚血が生じているのかを検討することが可能です。狭心症は、胸痛が出ている時に心電図検査しなければ正確に診断することが出来ません。その点で、ホルター心電図検査は狭心症を捉えるのに有用な検査です。特に安静時狭心症の代表である、冠動脈の痙攣(スパズム:攣縮)により起こる冠攣縮性狭心症の診断には非常に有用です。また、特に糖尿病などで無症候性心筋虚血(無症状の狭心症)が生じることがあります。その場合でも、ホルター心電図検査で24時間モニタリングすれば、心筋虚血が生じている状態を検出することが可能です。

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