血液検査は、バイオマーカーとも呼ばれ、心筋梗塞や心筋炎の診断、心不全の診断、動脈硬化の診断で重要な位置を占めています。白血球数、CPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)、コレステロール値、血糖値、CRPなども昔から使用されている重要なバイオマーカーです。特に、最近になり頻用される代表的なもので、トロポニンとBNPという検査があります。

 

1. トロポニン

心筋梗塞では心臓の筋肉(心筋)が壊死して行きます。心筋細胞が壊れると心筋逸脱酵素と呼ばれる酵素が血液中に流れ出ます。いくつかの種類の酵素がありますが、最近ではトロポニンという酵素を高感度に測定できる高感度トロポニン検査が心筋梗塞の迅速診断に非常に幅広く使用されています(図2)。心筋梗塞の大きさにより、発症後2-3日から5-6日間高値を示します。様々な報告で感度、特異度はともに90-95%程度で非常に精度高く心筋梗塞を診断可能です。
 
図2.血液検査(トロポニン)

図2.血液検査(トロポニン)


 

2. BNP

脳性ナトリウム利尿ペプチド(Brain natriuretic peptide)の略で、主に心臓の心室という部分から分泌されるホルモンで す。歴史的には1988年に日本の研究グループが豚の脳から発見したためBrainのBをとり脳性ナトリウムペプチドと言われていましたが、その後、主に心臓から分泌することがわかりましたが、そのままBNPと呼ばれています。BNPは正常な状態でもわずかに 分泌していますが、心不全などの心臓に負担がかかった状態になると著しく分泌が亢進し血中濃度が上昇します。現在BNPは心疾患の状態、特に心不全の状態を調べる血液マーカーとして、循環器の日常診療においてなくてはならない存在になっています。日本でも人間ドック受診者1,098人を対象にした報告では、早期心不全を検出する感度は90%、特異度は96%と高い診断能を認めたとされています。心電図のみの特異度が74%であることを考えると、疾患を正確に診断する能力は非常に高いと考えられます。1 血中BNP測定には、BNPとNT-proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿 ペプチド前駆体N端フラグメント)の2種類があります。心臓から前駆物質 であるpro-BNPが産生され、その後BNPとNT-proBNPに分解されて血液に放出されます(図3)。NT-proBNPの方は安定性が高いと報告されていますが、両者の臨床的意義には大きな相違はありません。
 
図3.血液検査(BNP)

図3.血液検査(BNP)



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