なぜ高脂血症はいけないのでしょうか?

テレビ、インターネット、健康診断などの場面でよく聞かれる高脂血症ですが、そもそもなぜいけないのでしょうか?1948年アメリカ東部のボストン市に近いフラミンガムという町でフラミンガム心臓研究という疫学研究が始まりました。当時、アメリカでは冠動脈疾患で死亡する人が現在よりずっと多く、その原因を究明する目的がありました。30歳から62歳までの病気の診断を受けていない男女約5200人を対象に、2年ごとに経過、採血検査などを追いました。その結果、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満などの関連が同定され、冠危険因子(リスクファクター)として広く認識されるようになったのです。

日本では、1980年の第3次循環器疾患基礎調査の対象者を1994年になってさかのぼって追跡したNIPPON DATA80(National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)という研究があります。1980年の第3次循環器疾患基礎調査の対象者(日本全国約10000人の30歳以上の男女)の方々の、14年後の生命予後を調査するために生存確認および死因を確認する必要がありました。1980年の基礎調査は保健所が主体で行われたのですが、2割の対象者の情報がわからなくなっていたそうです。主任研究者であった上島弘嗣先生らは、国立国会図書館に所蔵されていた14年前の電話帳や住宅地図まで調べて所在を確認したということです。そういった努力の結果、91%の追跡率を達成し、その結果に基づいて日本人でも、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などが冠危険因子となることが証明されたのです。

高脂血症は、たくさんの研究者や研究協力者の方々の努力によって冠動脈疾患のリスクファクターであることが証明された病気です。健康診断や病院で指摘を受けた際は、①適正体重へのダイエット、②食生活の改善、③適度な運動に努力したうえで、高脂血症治療について一緒に考えていきましょう。

  • 適正体重:BMI(body mass index)20-25 体重(kg)÷身長(ⅿ)÷身長(ⅿ)
  • 飽和脂肪酸(牛肉や豚肉の特に脂身や内臓、乳製品など)および、トランス脂肪酸(油脂を多量に使用した菓子パンや洋菓子)を控え、不飽和脂肪酸(青魚など)を取るようにする。
  • 成人では一日60分以上の歩行などの有酸素運動が望ましい。

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